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【千駄ヶ谷だより】和歌の徳を讃える能「巻絹」

「巻絹(まきぎぬ)」は紀州熊野を舞台に、和歌をたしなむ男が神のお告げによって救われるという、神の霊験と和歌の徳を讃えた作品です。能が生まれ育ってきた中世の世界をそのまま甦らせるような舞台設定や、登場人物は、独特な雰囲気を漂わせます。

 

能「巻絹」あらすじ

都から三熊野へ納めるための巻絹を運ぶ男が、途中音無天神に参詣すると、梅の花が見事であったために(心の中で)和歌を一首手向けて時を過ごしてしまいます。約束の刻限に遅れてしまった男は、咎めを受けて縛られます。その時、一人の巫女が現れて、その男は信心の厚い者で、罪はないから縄を解くようにと告げます。不審に思う臣下に、巫女は証拠として、男が音無天神で詠んだ一首の和歌を問います。求めに応じて男が上の句を読むと、巫女が下の句を続けて男の無実が明らかになります。巫女は音無天神が乗り移っていて和歌の手向けを喜んでいたのでした。和歌の徳を讃えて神楽を奉納した巫女は、神がかりから覚めるのでした。

 

和歌と能

世阿弥の伝書にもありますが、和歌は能にとって欠かすことのできない要素であり、和歌の徳を讃える能も少なくありません。「高砂」では一曲の中心部であるクセで和歌の徳が語られますし、「蟻通(ありどおし)」では紀貫之が蟻通明神の境内で立ち往生し、和歌を詠むことで許されます。

「巻絹」で歌を詠むのは無名の男ですが、有名な歌人が登場する能も数多くあり、「蟻通」の紀貫之の他に、「雲林院」の在原業平や「西行桜」の西行など多士済々です。最も多いのは「関寺小町」や「卒塔婆小町(そとばこまち)」などに登場する小野小町でしょう。

 

ミステリアスな巫女の神楽舞

「巻絹」の巫女は、男が縛られたところへ声を掛けながら現れます。この時点では男が心の中で和歌を詠んだことは観客にも知らされていないので、男の無実を晴らす展開は軽いミステリー仕立てになっています。この巫女には音無天神が乗り移っているために、神がかりとなって神楽を舞います。

今年大ヒットしたアニメ映画「君の名は。」にも巫女が舞を奉納する場面がありますが、巫女の舞は、日本人の心の奥底をかきたてるものがあるのかもしれません。

 

 

「巻絹」豊嶋三千春

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