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国立能楽堂

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【千駄ヶ谷だより】 夏越の祓する人は

7月の国立能楽堂は「月間特集・江戸時代と能」というテーマのもと、江戸時代と関わりのある特徴的な能・狂言の作品を特集上演します。
7月3日(金)の定例公演では、能・古本による「水無月祓」を上演します。

能・古本による「水無月祓」


長く京都を留守にしていて、戻って来た男。下賀茂神社の夏越の祓の場に物狂の女がいて、面白く茅(ち)の輪のいわれを語り舞を舞うと聞いて、男は下賀茂神社へ向かいます。糺(ただす)の森に着くと、御手洗(みたらし)川のほとりに、巫女のような風情で人々に茅の輪くぐりを勧める狂女の姿がありました。しかしそれは、男がむかし播磨の室(むろ)の津でなじみになり、再会を約束して別れた女だったのです。

現行曲の「水無月祓」は、観世元章(もとあきら)が「明和改正謡本」刊行の際に、改作したものとされます。もとは、室の津での男女の別れの場面がありましたが、現行曲ではその部分が省略されて演じられています。今回、江戸初期の謡本に沿ってこの場面を復活させ、男との別れを経て、恋慕と悲しみから物狂へと成り変わる女の心の変遷がより丁寧に描かれます。



「能楽図絵二百五十番」より 能「水無月祓」月岡耕漁(国立能楽堂所蔵)
 

夏越の祓


旧暦6月末に行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年の穢れを落とし、健康と厄除けを祈願する行事です。
神社の境内では、草で編んだ大きな輪を、「水無月の夏越の祓する人は、千歳(ちとせ)の命延ぶというなり」と唱えながら8の字を書くように3度くぐり抜ける「茅の輪くぐり」をします。茅の輪をくぐることで、病気や災いを免れることができるとされ、半年後の12月末には、同様の「年越の祓」があります。
京都の風物詩が全国各地の神社に広がり、季節になると「水無月」という名の和菓子も店先に並びます。
 

観世銕之丞家


今回のシテは、観世銕之丞(てつのじょう)家の当主、九世観世銕之丞氏。
江戸中期の15代観世太夫・元章は、その旺盛な政治力で、弟の清尚(きよなお)の分家樹立を幕府に認めさせました。そこから清尚を初世として、銕之丞家が始まります。
今回、古本による「水無月祓」で、元章が改作する前の演出に当代の観世銕之丞氏が挑みます。

――観世銕之丞氏のおはなし――
「むかしは携帯電話もなく、会いたい人に連絡をとったり探し出す手段はありませんでした。しかし神事の場は人々が集まる場所で、そこで偶然再会したことは多くあったでしょう。それは神さまがご縁をつないでくれたのだと人々は考えたのだと思います。そういう意味で、「水無月祓」でも男女が再会することは、やはり神さまの影の力のお導きだということが認識されていたのではないでしょうか。
江戸時代には能の上演形態が現在とは大幅に異なり、その中で一曲の時間をなるべく短くしようという傾向と、また、より洗練された姿を指向するという能の芸術性の面から、作品を削ぎ落とす作業が「水無月祓」にも入ったのでしょう。現行の「水無月祓」では、女が作品の冒頭でもうすでに物狂になっていますので、女がどのようにして物狂になったか、その経緯がお客様に伝わりづらい面があったと思います。「水無月祓」は観世流でもあまり上演頻度の高くない稀曲ですが、季節感のあるすがすがしい曲です。心に想いを秘めて演じることで、この女の姿を丁寧に作り上げ、描ければと思います。」

 

 日時

  7月3日(金) 午後6時30分開演 (終演予定8時45分)

 演目・出演者

 狂言「月見座頭」大藏彌太郎(大蔵流)
 能・古本による「水無月祓」観世銕之丞

 料金  正 面=4,900円
 脇正面=3,200円(学生2,200円)
 中正面=2,700円(学生1,900円)

 チケット予約

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 [電話] 国立劇場チケットセンター(10時~18時)
  0570-07-9900 / 03-3230-3000(一部IP電話等)
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