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【千駄ヶ谷だより】 三面の琵琶の名器

琵琶は、平安貴族の風雅を象徴する楽器です。この曲名でもある「絃上(玄象=けんじょう・げんじょう)」は、古くから著名な琵琶であり、『枕草子』や『今昔物語』などにその名が見えます。

『今昔物語』で記されるのは、「絃上(玄象)」が羅生門の鬼に取られた話。陰陽師・安倍晴明の友人で楽器の名手である源博雅が鬼から琵琶を取り戻したとあります。その後の「絃上(玄象)」はまるで生きているもののようで、下手に弾けば腹を立てて鳴らなかったり、火事があっても自ら逃げて来て庭にあったりと、妖怪さながら自由奔放にふるまう琵琶の様子が描かれています。

その名器「絃上」を題材にした曲が、12月2日定例公演で上演される能「絃上」です。

能「絃上」


琵琶の名手である太政大臣藤原師長(もろなが)が、琵琶の奥義を究めるため入唐を志し、その道すがら須磨の浦で塩汲みの老夫婦に一夜の宿を乞います。小屋で琵琶を奏していると、にわかに雨が降り始めます。老人は家の板庇を打つ雨音があまりに激しく琵琶の邪魔になると、屋根に苫(とま)を葺き、琵琶の音に合わせて雨の音の調子を整え、師長を驚かせます。実はこの老夫婦は、名器「絃上」の持ち主であった村上天皇と梨壺女御の亡霊で、師長の渡唐を止めるため現れたのでした。

村上天皇は、父・醍醐天皇の御代に唐から三面の琵琶を受け取り、それは「絃上」「青山(せいざん)」「獅子丸(ししまる)」であったことを語ります。「獅子丸」は龍宮へ取られてしまったが、今取り戻し、師長に弾かせてやろうと言うと、海底の龍神を呼び出します。「獅子丸」の琵琶が浮かび上がると村上天皇は八大龍王を引き連れて、師長に琵琶を授けました。師長が琵琶を弾けば龍王たちも管絃を奏で、海の波も鼓を打ち、村上天皇も参加して秘曲を奏でます。天皇は八大龍馬の引く車に乗って飛行し、師長も都へ帰って行きます。


「能装図」より 能「絃上」(国立能楽堂蔵)



絃上・青山・獅子丸


琵琶「青山」については、『平家物語』巻七に記されます。「獅子丸」は龍神が惜しんだのか日本に渡る途中嵐に遭い海底に沈み、「絃上(玄象)」「青山」の二面が宝として朝廷にありました。唐の三面の琵琶と秘曲三曲を伝えた琵琶博士・廉承武(れんのしょうぶ)は秘曲の内一曲を残した罪で魔道に堕ち、村上天皇が玄象を弾くのを聞き現れ、秘曲を渡そうと言って「青山」を弾き、天皇に曲を授けたとの話が記されています。

また「青山」は、能「経政(経正)」に登場します。合戦で討ち死にした平経政は名器「青山」を預かり弾き慣れた身だったので、「青山」を仏前に備え管絃講で弔いを行ったところ、経政の亡霊が現れます。風流人である経政は「青山」の琵琶に自分の執心が残っていると言い、戦に行き業火に焼かれるさまを見せるのを恥じて、消えて行きます。 

 日時

  12月2日(水) 午後1時開演 (終演予定3時30分頃)

 演目・出演者

  狂言「とちはくれ」佐藤友彦(和泉流)
 能「絃上」塩津哲生(喜多流)

 料金  正 面=4,900円
 脇正面=3,200円(学生2,200円)
 中正面=2,700円(学生1,900円)

 チケット予約

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 [電話] 国立劇場チケットセンター(10時~18時)
  0570-07-9900 / 03-3230-3000(一部IP電話等)
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