歌舞伎公演ニュース

2024年1月10日


新国立劇場で初開催!

国立劇場初春歌舞伎公演、
好評上演中 


1月27日(土)まで!

(舞台写真あり)

 初代国立劇場閉場後初となる、初春歌舞伎公演が幕を開けました。
今回の公演は、義太夫狂言の人気作『梶原平三誉石切』『芦屋道満大内鑑』と、歌舞伎舞踊の『勢獅子門出初台』の三本立てで華々しく初芝居を上演しております。

 舞台写真とともに、見どころをご紹介します。

◆◆◆

◆『梶原平三誉石切』


『梶原平三誉石切』
[左より]梶原平三景時(尾上菊之助)、
大庭三郎景親(坂東彦三郎)、
俣野五郎景久(中村萬太郎)ほか

 舞台は鶴ヶ岡八幡宮の社頭。石橋山で源頼朝を破った大庭三郎景親(坂東彦三郎)と俣野五郎景久(中村萬太郎)兄弟が参詣をしていました。そこへ、同じ平家方の梶原平三景時(尾上菊之助)が来合わせて、酒宴が始まります。


『梶原平三誉石切』
[左より]六郎太夫娘梢(中村梅枝)、
青貝師六郎太夫(嵐橘三郎)

 そこに、青貝師六郎太夫(嵐橘三郎)が、娘の梢(中村梅枝)を連れてやってきます。家宝である剣を大庭に買い取ってもらおうとしたのです。大庭は喜んで受け入れ、刀剣に詳しい梶原に目利きをして貰うことになりました。


『梶原平三誉石切』
梶原平三景時(尾上菊之助)ほか

 この刀の目利きは、大きな見せ場のひとつです。梶原は、剣を鑑定しますが、見事な名作でぜひ買うべきだと大庭に薦めます。ところが、俣野がどんな名剣でも切れ味が悪くては役に立たないと主張し、「二つ胴」(人間二人の身体を重ねたもの)もたやすく切れるという言い伝えの真偽を試すことになりました。


『梶原平三誉石切』
[左より]囚人剣菱吞助(片岡亀蔵)、
青貝師六郎太夫(嵐橘三郎)

 「二つ胴」を試そうにも、死罪の決まった罪人は吞助(片岡亀蔵)しかいません。そこで、六郎太夫は、この剣が二つ胴を切ったという折紙(証明書)があると言い出し、梢に取りに帰らせます。そして、梢を見送ると、自ら二つ胴の一人になることを申し出たのです。六郎太夫は、梢をこの場から遠ざけるため、折紙があると嘘をついたのでした。


『梶原平三誉石切』
梶原平三景時(尾上菊之助)ほか

 準備が整ったところへ戻った梢は、その場の様子に驚き嘆きますが聞き入れられません。六郎太夫の上に吞助の身を重ね、ついに梶原が剣を振り下ろすと…!
 なんと、吞助の身体だけが斬られ、紙一重のところで六郎太夫は無事でした。


『梶原平三誉石切』
[右より]梶原平三景時(尾上菊之助)、
青貝師六郎太夫(嵐橘三郎)、
六郎太夫娘梢(中村梅枝)ほか

 大庭と俣野は、刀の鑑定違いをあざ笑い去っていき、また六郎太夫も名剣と思い込んでいたことを恥ずかしく思い自害しようとします。
 すると、梶原は、自分の手加減によって六郎太夫が助かったこと、本当は稀にみる名剣であり、自ら買い取ることを申し出ます。
 また、剣の「八幡」の銘から、源氏にゆかりの剣であることを言い当てますが、六郎太夫は頑なに答えません。その固い信念を見届けた梶原は、自分も源氏にゆかりがあり、心を寄せていること、石橋山でひそかに頼朝を助けたことを告げます。


『梶原平三誉石切』
[中央]梶原平三景時(尾上菊之助)、
[左]青貝師六郎太夫(嵐橘三郎)、
[右]六郎太夫娘梢(中村梅枝)

 それを聞いた六郎太夫は、名剣の証拠もなく刀を売り付けるのは心苦しいと言います。
 そこで、梶原は、親子の姿を社前にある石の手水鉢に映し、二つ胴に見立て刀を振り下ろします。すると…!

 通称「石切梶原」とも呼ばれる本作。梶原の刀を使った見せ場では、竹本の語りや三味線に乗った様式的な動きやせりふが芝居らしさをかき立て、義太夫狂言ならではの醍醐味が感じられます。また、六郎太夫と梢が見せる親子の情愛、大名らしい貫禄や風格をもった大庭、血気の若者らしい居丈高な俣野、愛嬌たっぷりの囚人・吞助からも目が離せません。

◆『芦屋道満大内鑑ー葛の葉ー』


『芦屋道満大内鑑―葛の葉―』安倍野機屋の場
女房葛の葉(中村梅枝)ほか

 陰陽師・安倍保名(中村時蔵)は、将来を誓い合った葛の葉(中村梅枝)と駆け落ち同然に摂津国安倍野にたどり着き、一人の子をもうけ暮らしています。


『芦屋道満大内鑑―葛の葉―』安倍野機屋の場
[左より]庄司妻柵(市村萬次郎)、
葛の葉姫(中村梅枝)、
信田庄司(河原崎権十郎)

 童子を寝かしつけた葛の葉が機織りの仕事をしていると、葛の葉の両親である信田庄司(河原崎権十郎)とその妻の柵(市村萬次郎)、そして振袖姿の葛の葉姫(中村梅枝)がやってきました。家の中に声をかけた庄司は、自分の娘と瓜二つの女性がいることに驚きます。


『芦屋道満大内鑑―葛の葉―』安倍野機屋の場
[右より]安倍保名(中村時蔵)、
葛の葉姫(中村梅枝)

 そこに保名が帰ってきます。保名は、庄司夫妻が女房に振袖を着せ、自分をからかおうとしていると思い、今日まで挨拶に行かなかったことを謝りました。
 話がかみ合わないことを不審に思った庄司は、保名に機織りの音がする部屋の中を覗くように言います。すると、保名もびっくり、中にも外にも自分の女房がいたのです。


『芦屋道満大内鑑―葛の葉―』安倍野機屋の場
[右より]安倍保名(中村時蔵)、
女房葛の葉(中村梅枝)

 保名は、葛の葉の正体を確かめるために、庄司一家を物置に隠し、家に入ります。保名が庄司夫妻に会ったことを告げても、葛の葉の表情に変わった様子はありません。
 しかし、葛の葉は、自分の正体を知られてしまったことに衝撃を受けていました。彼女の正体は信田の森で保名に救われた白狐。葛の葉の姿に化けて保名を介抱し、一緒に暮らして、ついには子までもうけていたのです。


『芦屋道満大内鑑―葛の葉―』同奥座敷の場
女房葛の葉(中村梅枝)

 正体を知られてはもうこの家にいることはできないと思った葛の葉は、眠っている童子に自分の素性を語り始めます。そして、涙ながらに、葛の葉姫を本当の母と思い、学問に励み立派に成長するよう言い残すのでした。


『芦屋道満大内鑑―葛の葉―』信田の森道行の場
女房葛の葉(中村梅枝)

 葛の葉は、保名への書置きとして、障子に和歌を書き始めます。目を覚ました童子が駆け寄ってきます。すがりつく我が子を抱き上げつつ、歌を書き上げた葛の葉は、飛び出してきた保名を残し、姿を消したのでした。
 「恋しくば 尋ね来て見よ 和泉なる信田の森の うらみ葛の葉」
 葛の葉が残した歌をみた保名は童子とともに、信田の森を目指します。


『芦屋道満大内鑑―葛の葉―』信田の森道行の場
女房葛の葉(中村梅枝)

 我が子を思いながら、葛の葉はかつて住んでいた信田の森へ向かいますが…。

 一人二役で女房葛の葉/葛の葉姫を演じる早替わりや、左手や口を使った独特の手法で別れの和歌を障子に残す「曲書き」などが芝居を盛り上げるとともに、親子そして夫婦の情愛が描かれた名作です。

◆『勢獅子門出初台』

 元は、曽我兄弟の仇討ちを踏まえた芝居にちなむ「曽我祭」を題材にした踊りで、江戸の祭りの風俗を写しています。
 鳶頭や芸者、手古舞らが国立劇場の新たな門出を祝い、初芝居を賑やかに締めくくります。


『勢獅子門出初台』
[左より]鳶頭鶴吉(尾上菊之助)、
鳶頭亀吉(坂東彦三郎)、
若い者新吉(尾上眞秀)、
世話人松島屋亀蔵(片岡亀蔵)、
芸者お梅(中村梅枝)、
若い者清吉(小川大晴)、
芸者お時(中村時蔵)、
鳶頭音羽の菊五郎(尾上菊五郎)、
若い者文吉(尾上丑之助)、
芸者お橘(市村萬次郎)、
若い者勇吉(坂東亀三郎)、
世話人山崎屋権十郎(河原崎権十郎)、
鳶頭太吉(上村吉太朗)、
鳶頭萬吉(中村萬太郎)


『勢獅子門出初台』
鳶頭音羽の菊五郎(尾上菊五郎)


『勢獅子門出初台』
芸者お時(中村時蔵)


『勢獅子門出初台』
[左より]鳶頭鶴吉(尾上菊之助)、
鳶頭亀吉(坂東彦三郎)


『勢獅子門出初台』
[左より]手古舞おせい(小川大晴)、
手古舞おふみ(尾上丑之助)、
手古舞おゆう(坂東亀三郎)、
手古舞おひで(尾上眞秀)


『勢獅子門出初台』
[左より]芸者お梅(中村梅枝)、芸者お時(中村時蔵)、
芸者お橘(市村萬次郎)


『勢獅子門出初台』
[左より]世話人山崎屋権十郎(河原崎権十郎)、
世話人松島屋亀蔵(片岡亀蔵)


『勢獅子門出初台』
[中央]鳶頭音羽の菊五郎(尾上菊五郎)
[左より]鳶頭萬吉(中村萬太郎)、鳶頭太吉(上村吉太朗)


◆◆◆

 新国立劇場で初めての開催となる初春歌舞伎公演。国立劇場の初芝居を彩ってきた尾上菊五郎を中心とする俳優陣でお送りする舞台をどうぞお見逃しなく!
 なお、劇場内にはお正月らしい看板や積み樽など、新年を寿ぐお正月飾りで、皆様をお迎えします。また、毎年恒例舞台上からの手ぬぐいまきを、公演全日でお楽しみいただきます。
 新春の晴れやかさいっぱいに、皆様のご来場をお待ちしております。

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