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【2月文楽公演】初日を迎えました!

 2月10日、2月文楽公演が初日を迎えました。八代目竹本綱太夫五十回忌追善と豊竹咲甫太夫改め六代目竹本織太夫襲名披露の公演がついに東京でも始まりました。

 劇場内には八代目綱太夫の追善台や織太夫襲名を祝う”まねき”が飾られ、敷地内には襲名の幟が立てられています。


 2月文楽の幕開けとなる第一部は『心中宵庚申』を上演。近松門左衛門が書いた最後の世話物で、夫婦の心中を題材にした作品です。
 「上田村の段」ではお千代の突然の里帰りを契機として、お千代を迎える家族の悲しみや、旅先から偶然にも妻の実家に立ち寄った夫・八百屋半兵衛の驚きと葛藤など、相手の気持ちを配慮する登場人物それぞれの心の動きが描かれます。

 

 養い親への義理と愛する妻との間に挟まれて思い悩む半兵衛。もとは武士の家に生まれて義理に篤い半兵衛が選んだのは、お千代と共に八百屋を去ることでした。
 苦しみばかり多く最後は自害という運命を思い涙する半兵衛、そしてお千代も覚悟を固めます。二人が不運の道連れとなるお千代のお腹の子供の不憫さを思って涙する場面に、心を揺さぶられます。


 第二部は『花競四季寿』で始まります。今回は、春の情景をうたう二景として「万才」と「鷺娘」の上演です。


「鷺娘」


 そして追善・襲名披露狂言『摂州合邦辻』の上演に先がけて、「追善・襲名披露口上」の一幕です。八代目竹本綱太夫の子息である豊竹咲太夫が、父の追善公演を実現できたことの喜びとお客様への感謝の思いを述べ、続いて弟子の咲甫太夫が六代目織太夫を襲名することについて襲名披露の挨拶を述べました。最後に「どうぞ皆様方のお力によりまして末永く文楽が続きますよう、ひとえに御願い上げ奉りまする」と述べると、客席は盛大な拍手で湧きました。


 追善・襲名披露狂言の『摂州合邦辻』合邦住家の段。中世から伝わる継母継子の恋に隠された謎を、大名高安家のお家騒動を背景に描いた作品です。代々の綱太夫が演じ、八代目も若き日に代役を勤めて認められたゆかりの演目です。
 物語のクライマックス、玉手御前が父・合邦の家にたどり着く場面で咲太夫が登場。咲太夫は、継子である俊徳丸に不義の恋をしかけた玉手、娘の心中を察し思いやる母、娘の所業を許すことができない合邦の、三者三様の心情を緻密に語り分け、客席を巧みに物語の世界に引き込みます。


 後半は織太夫が勤めます。合邦によって刺された玉手が死の瀬戸際で自らの真意を語る場面を、織太夫は力いっぱいに語り、幕切れには熱演を見せた咲太夫や織太夫らに向けて大きな拍手が贈られました。


 第三部は『女殺油地獄』を上演。油屋の女房殺しの事件を題材にしたこの作品は、主人公河内屋与兵衛が放蕩や家庭内暴力を重ね、ついには強盗殺人にまで至るという内容で、作者・近松門左衛門の作品の中でも異色作とされています。文楽ではそのショッキングな内容のためか初演以降上演が途絶えていましたが、昭和37年(1962年)に舞台化されて以来、人気演目となっています。


 血のつながらない父を足蹴にし、それを止める実母を打ったことで、ついに勘当された与兵衛は同業の油屋・豊島屋の女房お吉の許へ金の無心に訪れますが……。
 子宝にも恵まれ平和だったはずの豊島屋は、与兵衛の凶行のために油と血潮にまみれた地獄と化します。生への執着と金への妄執を巡るすさまじい争いが暗闇の中で繰り広げられる様は圧巻。語りや三味線による描写は言うに及ばず、人形ならではの表現にも圧倒されます。


 今回は凶行の後を描く「豊島屋逮夜の段」も上演。東京では13年ぶりの上演です。

 初日は興奮冷めやらぬ中で幕を閉じました。三部制の2月文楽公演は26日(月)まで。皆様のご来場をお待ちしております。

2月文楽公演
第一部:午前11時開演/第二部:午後2時30分開演/第三部:午後6時開演

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