採用情報

先輩職員からのメッセージ(調査養成部調査資料課 T・M)

採用年月 令和3年1月
出身学部 文学部 美学美術史学科
所属部署 調査養成部調査資料課
簡単な業務内容紹介 伝統芸能の普及のための展示企画の立案・開催

質問

入職を決めた理由を教えてください。

答え

 演劇鑑賞が好きだった私は、新卒でエンターテイメント関連企業に就職し、演劇興行の券売に関する営業を3年間担当しました。その後、演劇をいかに売るかという商業的な側面だけでなく、演劇の文化・芸術としての側面や社会との関わりについてもっと深く学びたいと思う気持ちが強くなり、文化政策やアートマネジメントを学ぶため、一念発起してロンドンの大学院への留学を決めました。コロナ禍により10か月目で帰国を余儀なくされましたが、オンライン授業と論文提出により無事1年間で修士号を取得することができました。
 この留学経験で最も印象深かったのが、イギリスではアーツカウンシル(文化芸術に携わる専門家らによる第三者機関)が力を有し、国と連携して文化芸術を発展させていく体制がしっかりとしていることでした。日本で再就職先を探すなか、やはり日本でアーツカウンシルとしての機能を持ち、舞台芸術をはじめ、さまざまな価値ある文化・芸術を支えていけるのはここしかないと思い、当法人への入職への期待がどんどんと高まっていきました。

質問

現在の仕事内容を教えてください。

答え

 私は現在、調査養成部調査資料課に在籍し、所蔵資料を活用した伝統芸能の普及活動を推進しています。具体的には、所蔵資料をベースとする展示企画を立案し、展示をとおして伝統芸能の魅力を発信しています。
 国立劇場がこれまでに収集してきた所蔵資料の数は膨大で、カテゴリーも多岐にわたります。今の仕事は、それらを時節や貴重さなどいろいろな観点から俯瞰し、展示を作っていくことです。展示に相応しいテーマを考え、企画会議を経て、収蔵品からテーマに適したものを選定していきます。もちろん自分の知識だけでは十分でないため、専門分野の研究者の方などに展示監修として入っていただき、構成から資料の選定・解説まで、正確かつわかりやすい展示にできるよう努めています。最近では国立演芸場内の演芸資料展示室で開催している「浪曲展―国立劇場所蔵資料にみる」を先輩と一緒に担当しました。浪曲についてはまとまった資料を所蔵していたこと、国立演芸場の貴重な公演記録映像を公開できたことなどから、国立劇場ならではの意義のある展示にすることができたと思います。企画展示の仕事では、貴重な資料に触れる機会も多く、日々私自身の学びにもなっています。

質問

今後の目標を教えてください。

答え

 前職では、「いかに多くの人にチケットを買っていただけるか」ということを真剣に考える中で、興行のプロモーションに関して多くの知見を得ました。いま私は独立行政法人の職員として、より企画の内容に重きを置いて立案できる立場にあるものの、多くの人たちにアピールしなければならない部分は前職と同じです。そのため、ポスターやチラシの製作や広報などの業務は、前職での経験を活用しながら取り組んでいます。そうして、自身の携わったことが少しでも多く伝統芸能に興味を持つ方を増やし、間口を広げることにつながってほしいと願っています。
 その中で気を付けているのは、やりたいことを自分中心で推し進めることはせず、まずはテーマや資料にしっかりと向き合うことです。資料への理解を深めることで、より魅力的な展示を企画できるようになると思うからです。当法人では所蔵資料のデジタルアーカイブ化にも取り組んでおり、今後さらに活用の幅が広がっていくであろう資料の一つひとつを大切にしながら、業務に励んでいきたいです。