採用情報

先輩職員からのメッセージ(国立劇場調査養成部養成課 T・H)

採用年月 令和4年4月
出身学部 アーツ・サイエンス研究科 比較文化専攻 日本文化研究専修
所属部署 国立劇場調査養成部養成課
簡単な業務内容紹介 伝統芸能の伝承者の養成

質問

入職を決めた理由を教えてください。

答え

 幼い頃からお寺参りやお祭りが好きだった私は日本の伝統に興味を抱き、大学と大学院では日本の伝統文化を学びました。専門分野は明治から現代における歌舞伎で、演劇雑誌の変遷などを研究していました。就活では、歌舞伎についての視野をもっと拡げられる環境で働きたいと考え、「作る側」に焦点を当てました。それまで外側から見ていた歌舞伎を、今度は内側から捉えたいと思ったんです。
 「作る側」で企業研究を進めるなか、ここならば、と思えたのが日本芸術文化振興会でした。私自身が国立劇場へ時々観劇に来ており、振興会が主催する演目は常にチェックしていましたし、大学院での調査・研究で国立劇場の資料を利用することもあったため、その存在は身近に感じていました。面接ではこれまでの研究内容など深いところまで話すことができ、自分の個性を表現できたように思います。日本芸術文化振興会の事業はこれまで私が学んできたことと親和性が高く、ここなら自分の知識を活かせると確信し、しっかり納得できた上での入職となりました。

質問

現在の仕事内容を教えてください。

答え

 いま私は国立劇場養成所の一員として、伝統芸能の伝承者を育てていく業務に従事しています。養成所では、中学校卒業者から原則23歳以下までの一般の方を対象に、経験不問で広く伝承者を募っています。現在は12名の研修生がおり、私は歌舞伎における義太夫節の演奏者「竹本」3名の育成を担当しています(取材時現在)。
 「竹本」は太夫(たゆう)と三味線で構成され、太夫は語り手、三味線は大型の太棹(ふとざお)三味線の奏者を指します。私が担当しているのは太夫1名・三味線2名ですが、指導はご自身もプロの実演家である先生が行い、私は全体の管理を担っています。具体的な業務としては、指導される先生方のスケジュール調整、使用道具の準備、研修生3名の生活指導などです。専門用語など、学生時代に研究していた歌舞伎の知識が役に立つ場面も多く、充実した時間を過ごせています。
 この仕事で最もやりがいを感じるのは、何といっても研修生の成長を体感できることです。プロの実演家の養成を目指しているため厳しい指導も多々入りますが、研修生が先生からお褒めの言葉をいただいたときは、私も自分のことのように嬉しくなります。

質問

今後の目標を教えてください。

答え

 養成所の一員としての目標は、1人でも多くの実演家を育てて、舞台に立たせることです。そのためには研修生だけでなく、指導される先生方との信頼関係をしっかり築いていかなければなりません。配属当初は、学生時代からよく存じている著名な先生方だったため畏れ多い印象が強く、なかなかコミュニケーションが図れませんでした。しかし最近では研修生の様子を事前にしっかりお伝えしたり、スケジュールの細かな調整を行ったりするなど、円滑に業務が進められるようになってきました。今後は先生方や研修生からの質問にはどんなことでも正確に答えられるようにし、研修生の成長を全力でサポートしていきたいです。
 振興会では、2~3年を目安に部署異動があります。私はそれをチャンスと捉えており、若いうちに様々な部署を経験することで視野を広げ、日本の伝統文化に携わる者として自らを磨き続けたいと思っています。
 就活は、本当に自分が好きなこと、やりたいことを素直にアピールすることが大切だと考えます。なぜなら就活は優劣を競う場ではなく、自分と勤め先との相性を判断する場だと思うからです。