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国立劇場3月花形歌舞伎公演
『新皿屋舗月雨暈‐お蔦殺しと魚屋宗五郎‐』特別インタビュー
“江戸歌舞伎の聖域”への挑戦 片岡孝太郎

3月花形歌舞伎公演『新皿屋舗月雨暈‐お蔦殺しと魚屋宗五郎‐』で、おはま・お蔦の二役を勤める片岡孝太郎さんに、役への思い、抱負をうかがいました。

片岡孝太郎
片岡孝太郎

― 今回はいずれも初役となりますが・・・。

『魚屋宗五郎』は、菊五郎劇団の皆さんが大切に伝えてきた、いわば“江戸歌舞伎の聖域”です。上方歌舞伎の家に生まれた私にとって、純然たる江戸の世話女房役・おはまには、あこがれを感じていました。今回は大きな挑戦であると思っています。菊五郎のお兄さんの指導のもと、松緑君の宗五郎をしっかりと支えていきたいですね。

一方のお蔦は、理不尽にも主人の手討ちにあう悲劇の女性です。三津五郎のお兄さんが20年前に国立劇場で演じて以来ということですが、ありがたい巡り合わせだと感じています。立役を支えるおはまとは違って、お蔦では自分が芝居を引っ張っていかなくてはなりません。今回は、役の組み立て方の全く違う二役の、その対照をうまく出せれば良いですね。

片岡孝太郎
片岡孝太郎

― “通し上演”の面白さ、見どころをお聞かせください。

普段は上演されない、宗五郎が禁酒をやぶる理由―妹お蔦の死を、前半でしっかりと見せることで、作品の全体像がはっきりとしますね。本外題である『新皿屋舗…』の意味もお蔦のくだりがあれば腑に落ちます。初めて観る方には筋が分かりやすく、またご覧になったことがある方にも、通しで観ることでいろいろな発見があるのではないでしょうか。

また、今回85年ぶりにお目にかける「お蔦部屋の場」は、『加賀見山』を下敷きにしたような場面です。黙阿弥が仕組んだ様々な趣向が楽しめる今回の上演は、国立劇場ならでは、といえるのではないでしょうか。耳に心地よい黙阿弥調のセリフに義太夫、幽霊も登場するなど、いろいろな要素があるお芝居ですが、うまく調和させて、テンポよく、“江戸の粋”を演じていきたいですね。ぜひ御覧ください。