― 今回はいずれも初役となりますが・・・。
『魚屋宗五郎』は、菊五郎劇団の皆さんが大切に伝えてきた、いわば“江戸歌舞伎の聖域”です。上方歌舞伎の家に生まれた私にとって、純然たる江戸の世話女房役・おはまには、あこがれを感じていました。今回は大きな挑戦であると思っています。菊五郎のお兄さんの指導のもと、松緑君の宗五郎をしっかりと支えていきたいですね。
一方のお蔦は、理不尽にも主人の手討ちにあう悲劇の女性です。三津五郎のお兄さんが20年前に国立劇場で演じて以来ということですが、ありがたい巡り合わせだと感じています。立役を支えるおはまとは違って、お蔦では自分が芝居を引っ張っていかなくてはなりません。今回は、役の組み立て方の全く違う二役の、その対照をうまく出せれば良いですね。