日本芸術文化振興会トップページ  > 国立劇場あぜくら会  > あぜくら会ニュース  >  あぜくら会特別企画  復曲能「名取ノ老女」鑑賞とゆかりの地をめぐる旅

国立劇場あぜくら会

イベントレポート

あぜくら会特別企画
復曲能「名取ノ老女」鑑賞とゆかりの地をめぐる旅

開催日:9月30日(土)10月1日(日)

場所:宮城県名取市

熊野大神宮


 東日本大震災の翌年から、<復興と文化>と題した企画公演が国立能楽堂で開催され、5年目の平成28年3月復曲能「名取ノ老女」が初演されました。名取に住まう信仰深い老女がひたすらに祈りを捧げ、熊野権現の祝福を受けるという「名取ノ老女」は好評を博し、今秋、老女の故郷である名取市で上演されました。
 あぜくら会では、「名取ノ老女」の監修・台本作成者である、国文学研究資料館教授小林健二氏を講師にお迎えし、ゆかりの地を訪れた後、名取での公演を鑑賞する1泊2日の旅を企画いたしました。ご参加くださった36名のあぜくら会員の方々は、陸奥名取の旅を満喫されたご様子でした。


9月30日(土)
 東北新幹線はやぶさ17号で仙台着。専用バスで伝説の老女が勧請したと伝えられる名取熊野三社(熊野本宮社・熊野神社・熊野那智神社)をめぐりました。東北における熊野信仰の象徴、名取熊野三社の成立には、伝説の名取老女が大きな役割を果たしたと伝えられています。
 「紀州熊野詣を重ねていた老女は、経済的に恵まれた暮らしを送っていたのではないか」という小林先生のお話を伺い、老女の姿を思い描きながら参詣。静かな里に、心地よい秋風が吹き渡ります。
 高舘山の展望台からは、閖上(ゆりあげ)の浜が一望できます。名取平野の向こうに広がる太平洋。しかし、震災の日「津波は巨大な黒い壁となって、轟音とともに押し寄せてきた」と伺い、しばらくは言葉もなく、皆さんで手を合わせました。
 かの地で亡くなった中将藤原実方朝臣のお墓にも足を伸ばし、名取老女のお墓の素朴な佇まいに驚きながら、ゆかりの地をめぐり終えました。

10月1日(日)
 ゆりあげ朝市で昼食をとり、名取市文化会館へ。公演に先立つ解説では、小林氏とともに監修・台本作成にあたられた小田幸子氏と演出の大槻文藏氏が、「名取ノ老女」復曲の経緯、作品に込められた思いを語りました。
 名取川の素朴な風景をバスから眺めた後、狂言「名取川」の豊かな笑いを楽しみ、復曲能「名取ノ老女」では、鎮魂と祈りのエネルギーに満ちた力演を目の当たりにしました。

名取ノ老女


主催:近畿日本ツーリスト

あぜくら会ではこれからも会員限定の様々なイベントを開催してまいります。皆様のご参加をお待ちしております。

あぜくら会ニュースに戻る