つづいて国立文楽劇場にほど近い、生国魂(いくたま)神社へ。地元では「いくたまさん」と呼ばれ、『曽根崎心中』生玉社前の段の舞台となった場所です。境内にある浄瑠璃神社は芸能の神様として信仰を集め、竹本義太夫や豊澤団平ら、人形浄瑠璃(文楽)の成立に尽力した「浄瑠璃七功神」を祀っていることでも有名です。
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日本芸術文化振興会トップページ > 国立劇場あぜくら会 > あぜくら会企画監修 新春文楽公演と文楽ゆかりの地を訪ねる旅 ~ツアー・レポート~
1月19日・20日の2日間、あぜくら会の企画監修による「新春文楽公演と文楽ゆかりの地を訪ねる旅」が、39名の皆様のご参加をいただいて催行されました。
おかげさまで大変ご好評いただきましたこの旅の模様を、ダイジェストでお伝えします。
旅行会1日日(19日)は、京都市立芸術大学の後藤静夫教授にご同行いただき、バスをチャーターしての「文楽ゆかりの地」巡り。まずは『曽根崎心中(そねざきしんじゅう)』や『心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)』の舞台となった大阪・曽根崎新地です。
北新地蜆川跡の石碑
近松門左衛門の墓石
かつて曽根崎川が流れていた辺り、にぎわう街の片隅に立てられた石碑に蜆川(しじみがわ)跡・河庄(かわしょう)跡をしのんだ後は、谷町(たにまち)にある近松門左衛門の墓にお参り。墓は当初、近くの法妙寺にありましたが、寺が大東市へ移転する際、この地へ移されました。ビルの谷間の細い路地を入ったところに、ひっそりとした佇まいを見せています。
生国魂神社の境内にある浄瑠璃神社
つづいて国立文楽劇場にほど近い、生国魂(いくたま)神社へ。地元では「いくたまさん」と呼ばれ、『曽根崎心中』生玉社前の段の舞台となった場所です。境内にある浄瑠璃神社は芸能の神様として信仰を集め、竹本義太夫や豊澤団平ら、人形浄瑠璃(文楽)の成立に尽力した「浄瑠璃七功神」を祀っていることでも有名です。
當麻曼荼羅の絵解き
翌日の舞台鑑賞を前に、『鶊山姫捨松(ひばりやまひめすてのまつ)』の主人公・中将姫ゆかりのこの寺で、有名な「絵解(えと)き節法(せっぽう)」を拝聴。「絵解き」とは仏画や絵巻の解説をすることで、當麻寺では御本尊「當麻曼荼羅(たいままんだら)」に描かれた極楽浄土の光景が、高僧による独特の節回(ふしまわ)しによって語られます。
あわせて、前田青邨ら多くの画家たちの寄進による豪華な絵天井を拝観しました。その後、大阪「太閤園」で夕食を取り、この日の宿泊先・シェラトン都ホテル大阪へ。
「文楽ゆかりの地」を歩きながら、あるいはバスでの移動中、後藤先生からは演目の背景にとどまらず、文楽をはぐくんだ大阪の歴史や風俗について、細やかな説明がありました。また、長年文楽公演の制作に携わってこられた先生ならではの、興味深い お話も伺えました。
国立文楽劇場
吉田幸助さんによる人形解説
上演前には吉田幸助さんによる解説も行われました。人形のかしら・手・足をどのように動かすのか、幸助さんの実演を見て、本番の舞台に向け、にわかに気分が盛り上がります。
竹本綱大夫・鶴澤清治・吉田文雀ら、豪華出演陣による初春文楽公演『鶊山姫捨松』『傾城恋飛脚(けいせいこいびきゃく)』『小鍛冶(こかじ)』と、本場大阪での文楽を十分にご堪能いただいた後は、バックステージツアーへ。
舞台裏の大道具の数々
ふだんは足を踏み入れることのできない舞台裏の風景に、参加した皆様も興味津々。
また、公演にあわせて開催中の企画展示「中将姫の世界」もご覧いただき、わずか2日間ですが、盛りだくさんに充実した今回の旅行会の帰路に着きました。
あぜくら会では、今後も会員の皆様にお楽しみいただけるよう、さまざまなイベントを企画してまいります。皆様のご参加をお待ちしております。