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国立劇場

くろごちゃんにゅーす

くろごちゃんの『仮名手本忠臣蔵』あらすじ紹介

 3月歌舞伎公演は、“四代にわたる芸の継承”をテーマに、『増補忠臣蔵(ぞうほちゅうしんぐら)』『梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)』を上演します。

 『増補忠臣蔵―本蔵下屋敷―』は、義太夫狂言の名作『仮名手本忠臣蔵』に登場する桃井若狭之助を主人公に、足利館での塩冶判官の刃傷事件から九段目「山科閑居」で加古川本蔵が大星由良之助のもとを訪れるまでの間に何があったのかを描いた作品です。『仮名手本忠臣蔵』のあらすじが分かると、『増補忠臣蔵』が何倍も楽しめます。今回、くろごちゃんが『仮名手本忠臣蔵』のあらすじを紹介します。

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付き人:ねえねえ、くろごちゃん。3月歌舞伎公演の『増補忠臣蔵』ってどんなお話? 「忠臣蔵」となにか関係があるの?

(⌒v⌒):『増補忠臣蔵』は、『仮名手本忠臣蔵』に登場する桃井若狭之助(もものいわかさのすけ)を主人公にした作品だよ。

付き人:やっぱり、そうなんだ。桃井若狭之助って、高師直(こうのもろのう)にひどいことを言われて討とうとしたお殿様?

(⌒v⌒):そうだよ。一計を案じてそれを止めたのが桃井家の家老の加古川本蔵(かこがわほんぞう)。

付き人:本蔵って「山科閑居(やましなかんきょ)」の主要人物だよね。そういえば、『仮名手本忠臣蔵』を通しで観た時、若狭之助は刃傷事件の後どうなったのかな、って思ったなぁ。

(⌒v⌒):大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)たち四十七士の師直邸討入り後の「花水橋引揚げ」で登場するだけだもんね。『増補忠臣蔵』は三段目「足利館松の間刃傷」の後日譚、九段目「山科閑居」の前日譚になってるんだよ。3月歌舞伎公演を観る前に、『仮名手本忠臣蔵』で若狭之助と本蔵がどのように描かれているか、ぼくと予習しておこう!

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(⌒v⌒):鶴ヶ岡八幡宮で師直に侮辱されて怒り心頭の若狭之助は、「桃井館松切り」で家老の本蔵に、明日殿中で師直を斬るつもりだと打ち明けるんだ。家が断絶したとしても師直から受けた恥辱には替えられない、と涙ながらに話す若狭之助に、思いを晴らせとばかりに松の枝を切って見せる本蔵。


豊国画「桃井若狭之助・加古川本蔵」


付き人:えぇ?! お家断絶になるのに後押ししちゃうの?!

(⌒v⌒):本蔵は主人の気性を知ってるから、止めても無駄だと思ったんだろうね。若狭之助が奥の間に入ると、本蔵は急いで師直のもとに向かうんだ。

付き人:たしか賄賂を渡しに行ったんだよね~。

(⌒v⌒):そう、よく覚えてたね。それが「足利館門前」。いざ、師直を斬ろうと息巻いていた若狭之助だったけれど、賄賂を貰って上機嫌の師直が無礼を詫びたため、恨みを晴らす機会を失っちゃうんだ。でも、一方で師直のいじめの矛先は塩冶判官(えんやはんがん)に向かっちゃう。判官は師直の嫌がらせに耐えかねて刃傷に及ぶのだけれど……。一太刀では師直を仕留められなかった判官を本蔵が抱き留めたために、判官は師直を討ち取ることができなかったんだ。


国周筆「假名手本忠臣蔵三段目」


付き人:そっか、言ってみれば本蔵の機転が判官の刃傷事件のきっかけになっていたんだ。でもこれで桃井のお家は安泰だね☆ それに本蔵は判官の刃傷を止めたんだし。

(⌒v⌒):それが違うんだ。判官は無念のまま切腹、若狭之助はへつらい武士と世間で呼ばれることになったんだ。

付き人:えっ、じゃあ本蔵の取った一連の行動は逆効果だったってこと?

(⌒v⌒):そう。若狭之助の怒りを買った本蔵は自分の屋敷で謹慎することに。謹慎中の本蔵のもとに若狭之助が訪れるところから『増補忠臣蔵』が始まるんだよ。

付き人:それで若狭之助と本蔵はどうなっちゃうの?

(⌒v⌒):それでは、『仮名手本忠臣蔵』の九段目「山科閑居(やましなかんきょ)」のあらすじを紹介するね!

付き人:えっと、加古川本蔵(かこがわほんぞう)の妻の戸無瀬(となせ)と娘の小浪(こなみ)が塩冶(えんや)家の家老だった大星由良之助(おおぼしゆらのすけ)を訪ねてくるんだっけ……?


豊国画「忠臣蔵八段目」


(⌒v⌒):ちゃんと覚えてたね。小浪は塩冶家の家老・大星由良之助の息子・力弥(りきや)の婚約者だったけど、塩冶判官(えんやはんがん)の刃傷事件をきっかけに塩冶家はお家断絶、家臣たちは浪人となったこともあって、両家の関係が絶えてしまっていたんだ。それでも戸無瀬は小浪を嫁入りさせるために山科まで来たんだよ。けれど、戸無瀬と小浪の願いは、由良之助の妻・お石(いし)にすげなく断られちゃう。

付き人:小浪、かわいそう……。

(⌒v⌒):他家へ嫁ぐ気はなく、力弥でないと嫌だと泣きじゃくる小浪。血のつながらない娘ながら小浪の想いを叶えてやれないことを嘆く戸無瀬。ついに、親子共々命を絶つ覚悟を決めるんだ。

付き人:ねぇ、ちょっと一途すぎない?!

(⌒v⌒):外から虚無僧の吹く尺八の音が聞こえる中、刀を振り上げる戸無瀬。そこにお石が止めに入り、祝言を許すと言う。

付き人:ああ、良かった。

(⌒v⌒):でも、なんとお石はその代わりに本蔵の首を引き出物に持って来いって。

付き人:急展開!

(⌒v⌒):刃傷事件の時、本蔵が塩冶判官を抱き留めたせいで、判官は本懐を遂げられなかったからね。そこに入ってきたのは虚無僧姿で様子をうかがっていた本蔵。本蔵がいまだに判官の仇討ちを果たせない由良之助親子を罵倒したところ、力弥に槍で刺される。


国貞画「假名手本忠臣蔵九段目屋間志奈屋敷雪降之段」


付き人:さらに急展開! 前に観たことがあってもドキドキハラハラしちゃうね。

(⌒v⌒):本蔵は自分の一連の行為が塩冶家の仇になったことを悔やんで、わざと力弥の手にかかったんだよ。そうすることで、娘を力弥と添わせてやりたいと思ったんだね。本蔵の覚悟を見抜いてその望みを受け入れた由良之助に、本蔵は娘の祝言の引き出物として由良之助に高師直(こうのもろのう)邸の絵図面を渡すんだ。

付き人:そっか、絵図面があれば師直への討入りも果たせるもんね! …ん? あれ? ちょっと待って。なんで本蔵は師直邸の絵図面を持っているの?

(⌒v⌒):いい質問ですね、付き人さん! なぜ、本蔵が絵図面を持っているのか? そもそも家老の本蔵が、虚無僧に変装してたった一人で山科を訪れてきたのは何故なのか?! 『増補忠臣蔵』を観れば、すべての謎が解けるんだ!

付き人:え~、そうなんだ! すごく気になる!

(⌒v⌒):若狭之助は中村鴈治郎が代々勤めた役でね、今回、当代の鴈治郎さんが初役で勤めるよ。

付き人:楽しみだねぇ。早く観たいなぁ。

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(⌒v⌒):「忠臣蔵」についてもっと知りたくなったら、文化デジタルライブラリーもチェックしてみて。『仮名手本忠臣蔵』のページにはムービーやクイズもあって作品について楽しく学ぶことができるよ♪

付き人:もう一つの演目『梅雨小袖昔八丈―髪結新三―』の作者・河竹黙阿弥のコンテンツもあります。『梅雨小袖昔八丈』のあらすじやみどころの紹介など、ぜひご覧になってください。

(⌒v⌒):国立劇場3月歌舞伎公演は3月3日(土)から! 楽しみにしててね。付き人さん、クイズで勝負しよ~。

~二人はパソコンの前でクイズに興じるのでした。~