歌舞伎公演ニュース

2017年10月13日

11月歌舞伎『坂崎出羽守』の作者・山本有三
ゆかりの地訪問記(栃木県栃木市)

 11月歌舞伎公演で上演する『坂崎出羽守(さかざきでわのかみ)』の作者・山本有三のふるさと栃木市を、くろごちゃんが訪れました。山本有三が青春時代を過ごした栃木の風土を知れば、作品がさらに身近に感じられるはずです!


 


(⌒v⌒)  :みんな元気? くろごちゃんだよ!
      今日は山本有三さんのゆかりの地、栃木県栃木市にやって来たよ~。

付 き 人  :山本有三さんって、中学生の時に『路傍(ろぼう)の石』を文庫本で
      読んだなぁ……

(⌒v⌒)  :付き人さんをはじめ多くの方が知っている大作家。山本有三さんと言えば、
      『路傍の石』の他にも、『真実一路』『女の一生』などの小説も有名だよね。
      それに、東京都三鷹市には山本有三さんが暮らした素敵な洋館(三鷹市山本
      有三記念館
〈※平成30年3月まで休館中〉)が残っていて、映画やドラマの
      撮影でも使われているから、実は知らない内に親しんでいる人も多いかもね。




付 き 人  :今年はそんな山本有三さんの生誕130周年
      ところで、さっき記念館は東京都三鷹市にあるって言ってたけど、栃木とは
      どういう関係なの?

(⌒v⌒)  :(石碑の前に立ち)


      たったひとりしかない自分を、たった一度しかない一生を、
      ほんとうに生かさなかったら、人間、生まれてきたかいがないじゃないか……



付 き 人  :えっ、なに急に神妙な!?
      (石碑に気付いて)あっ、『路傍の石』の一節ですね。びっくりしたぁ……

(⌒v⌒)  :へへ、ここ栃木は山本有三さんが生まれ育ったふるさとなんだよ~。




 作者|山本有三(1887-1974)
 明治20年(1887)、栃木の呉服商の家に生まれる。明治44年(1911)に初の戯曲『穴』が雑誌『歌舞伎』に掲載されるなど、早くから劇作家としての才能を発揮する。東京帝国大学に進学後、大正3年(1914)には、豊島与志雄・菊池寛・芥川龍之介・久米正雄らと共に第三次『新思潮』を創刊する。
 大正後期には、『生命の冠』が明治座で上演されたのを皮切りに、『嬰児殺し』『坂崎出羽守』などを発表し、劇作家としての地歩を固める。『坂崎出羽守』は六代目尾上菊五郎の初演で好評を得る。大正末期からは小説にも取り組み、『女の一生』『真実一路』『路傍の石』などを発表し、国民的作家となる。(写真提供:公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団)


付 き 人  :へえ~、さすがくろごちゃん! もっと詳しく教えて~!!

(⌒v⌒)  :(毎度のことながら、少しは付き人さんも勉強しようよ……)
      栃木市は、江戸時代から宿場町や問屋町として栄え、北関東の商都と呼ばれた
      んだ。それじゃあ、街を一緒に散歩してみよう!



▼山本有三のふるさと、蔵の街とちぎ

  


付 き 人  :わあ、鯉が気持ちよさそうに泳いでる!
      川沿いに昔ながらの蔵が立ち並んでいて情緒たっぷりだね。
      まるで江戸時代にタイムスリップしたみたい!

(⌒v⌒)  :でしょでしょ~。この巴波川(うずまがわ)を利用して、江戸との舟運で栄
      えたんだよ。道のあちこちにも鯉や蔵の模様が使われているんだ。

付 き 人  :当時の面影が伝わってくるね。ところで、山本有三さんの生家はどのあたり
      にあったの?

(⌒v⌒)  :少し先に記念館があるらしいから、行ってみよう!


  


▼山本有三ふるさと記念館(栃木県栃木市万町5-3)

  


(⌒v⌒)  :ここが山本有三さんの生家の隣にある山本有三ふるさと記念館
      すぐそばに「山本有三生誕の地」の碑もあるね。入ってみよう!

付 き 人  :(館内を眺めながら)山本有三の愛用品や自筆原稿、映画のポスターなどが
      たくさん展示されているね! あれっ、くろごちゃん、どこ~?

(⌒v⌒)  :ここだよ~。山本有三さん愛用の机なんだって!
      今回特別に座らせていただいたんだけど、当時の執筆姿が偲ばれるね~。


 


付 き 人  :なに、ちゃっかり座ってるんですか~!
      ところで、山本有三さんが執筆した『坂崎出羽守』というのは
      どんな話なの?

(⌒v⌒)  :山本有三さんが30代の頃に、六代目尾上菊五郎のために書き下ろした史劇
      なんだ。大坂夏の陣で、徳川家康の孫娘・千姫を救った武将・坂崎出羽守
      の恋心と葛藤を描いた新歌舞伎の名作だよ。


 新歌舞伎とは、一般的に明治時代中期から太平洋戦争の最中までに書かれた作品を指します。
 江戸時代から明治までの歌舞伎の脚本は、歌舞伎を専門に書く狂言作者らによって作られてきました。ところが河竹黙阿弥が明治26年(1893)に亡くなると、その後有力な狂言作者が現れませんでした。そうした事情もあって、文学者や小説家の作品が歌舞伎で上演されるようになったのです。このような作品を新歌舞伎といいます。近代的な思想や人間像を歌舞伎の手法で表現しているのが特徴です。


  



付 き 人  :「千姫を救った武将の恋心……」とは、とてもドラマチック!
      今回、尾上松緑さんが初役で坂崎出羽守を勤めるんだね。

(⌒v⌒)  :そう。おじいさんの二代目松緑さん、お父さんの初代辰之助(三代目松緑)
      さんも勤めて観客を魅了した名作なんだ。先日の記者会見でも松緑さんは、
      この作品についてとても思い入れが深いと熱く語っていたよ。

付 き 人  :代々引き継がれてきた大切な作品なんだね!
      36年ぶりの上演とは、今から楽しみ!!


 11月の歌舞伎公演は、山本有三の『坂崎出羽守』と、長谷川伸の〈股旅物〉の傑作『沓掛時次郎(くつかけときじろう)』を上演します。深まる秋に、心に沁み入る〈新歌舞伎〉の名作二篇をお楽しみください。11月6日(月)にはぼくも大劇場ロビーで皆様をお迎えします!



11月歌舞伎公演は、3日(金・祝)から26日(日)まで
12時開演 但し、10(金)・17(金)は午後4時開演

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