歌舞伎公演ニュース
2025年1月9日
【初春歌舞伎公演】
『彦山権現誓助剣』好評上演中
、27日(月)まで !
(舞台写真あり)
初春歌舞伎公演が幕を開けました。新国立劇場での歌舞伎公演も3回目を迎えます。
今回の公演は、仇討ち物の傑作『彦山権現誓助剣』を通し狂言として上演しています。
舞台写真とともに、公演の魅力をご紹介します。
お正月気分を堪能できる極上の初芝居
舞台上からの手ぬぐいまきも!
(大詰「豊前国小倉真柴大領久吉本陣の場」)
発端「豊前国彦山権現山中の場」
[左より]早川一学(片岡亀蔵)、
毛谷村六助(尾上菊之助)
豊前国彦山山中のお堂。彦山の麓・毛谷村に住む六助(尾上菊之助)が山仕事の帰り道、参拝に立ち寄りました。六助は羽に矢のささった鳩が飛んで来ると、その矢を引き抜いてやり、逃がしたのでした。すると、侍の早川一学(片岡亀蔵)がやってきて、言いがかりをつけ、六助に斬り掛かります。一学は、六助こそが探していた逸材であることに気づき、殿様に奉公することを頼みます。
しかし、六助は、母親に孝行を尽くしたいために断るのでした。
発端「豊前国彦山権現山中の場」
[左より]毛谷村六助(尾上菊之助)、
吉岡一味斎(中村又五郎)
そこへ、大名家の剣術指南役を務める吉岡一味斎(中村又五郎)が高良明神の使いを装い、現れます。そして、人物を見込んだ六助に剣術の奥義を授けるのでした。
序幕「周防国太守郡家城外の場」
[左より]京極内匠(坂東彦三郎)、
吉岡一味斎(中村又五郎)
長門・周防の太守郡家居城の外。御前試合での負けに遺恨を抱いた京極内匠(坂東彦三郎)は一味斎を闇討ちにします。一味斎の姉娘お園(中村時蔵)がその場に駆けつけますが、内匠を取り逃がしてしまいます。
序幕「長門国吉岡一味斎屋敷の場」
[左より]老女福栄(市村萬次郎)、
一味斎妹娘お菊(上村吉太朗)
屋敷に仕える老女の福栄(市村萬次郎)と一味斎の妹娘お菊(上村吉太朗)が父・一味斎と姉・お園の帰りを待っています。お菊は、同じ郡家中の衣川弥三郎と恋仲となり、弥三松という子をもうけますが、親の許しを得られていません。お園は、お菊に今日こそ父の許しを得て、お菊の子・弥三松に会わせることを約束していました。
序幕「長門国吉岡一味斎屋敷の場」
[左より]一味斎姉娘お園(中村時蔵)、
一味斎妻お幸(上村吉弥)
そこへ、父を迎えに行ったお園が酩酊した様子で屋敷に帰ってきました。母・お幸があきれて理由を問いただすと、お園は父・一味斎の供をした先で酒を強いられたと語ります。そして、妹・お菊に婿をとらせてほしいと口にし、お菊が生んだ弥三松が福栄に抱かれて出てきます。
しかし、お幸はやはりお園の願いを聞き入れません。実はこれにはお園が一味斎とお幸との実子ではなく、拾い子であることが原因だったのです。お幸は、身分ある人らしいお園の実の親への義理を立て、跡目をお園に継がせなくてはいけないという真意を明かします。
序幕「長門国吉岡一味斎屋敷の場」
[左より]一味斎姉娘お園(中村時蔵)、
一味斎妻お幸(上村吉弥)、
一味斎妹娘お菊(上村吉太朗)
自らの出自に驚いたお園は、覚悟を決めて父の乗物を呼び出します。なんと中には、一味斎の亡骸があったのです。お幸は取り乱し、お菊は慌てふためき、亡骸にすがりつきます。
序幕 「長門国吉岡一味斎屋敷の場」
[左より]若党佐五平(市村橘太郎)、
若党友平(中村萬太郎)
お園とお供の若党友平(中村萬太郎)と佐五平(市村橘太郎)は、一味斎の最期を無念そうに語ります。証拠の片袖により、一味斎との御前試合で負けたことに恨みを持った京極内匠が敵と分かりました。
序幕「長門国吉岡一味斎屋敷の場」
[左より]衣川弥三左衛門(河原崎権十郎)、
一味斎姉娘お園(中村時蔵)
そこへ、弥三郎の父・衣川弥三左衛門(河原崎権十郎)が上使として屋敷にやってきました。すると、剣術師範の身でありながら殺された一味斎は禄盗人であり、残された親子3人を屋敷から追放するという厳命を伝えたのでした。理不尽な沙汰に憤り、従おうとしないお園を、弥三左衛門は槍で突きかかります。実は、郡家の主君から密命を受けていた弥三左衛門は敵を討たせるためにお園の腕を試したのです。そして、お園の武芸の腕前を認め、敵討ちの許可状を渡します。
お園は父の無念を晴らすべく敵討ちを決意し、お幸、お菊らと旅に出ます。
二幕目「山城国小栗栖瓢箪棚の場」
[左より]若党友平(中村萬太郎)、
一味斎姉娘お園(中村時蔵)
お園が惣嫁(辻立ちの娼婦)に身をやつして内匠を探していると、お菊と弥三松に付き添って敵を探していた友平がやってきます。
友平は、無念そうにお菊の黒髪を手渡し、須磨の浦でのお菊の死を語りました。
犯人の手かがりとして友平は拾った守り袋を見せると、臍の緒と「永禄九年五月十日の誕生」と記された臍の緒書があるのみでした。友平は主人を守れなかった自責の念のから自らの腹に刀を突き立てます。そして、京極内匠への恨みをつのらせ、守り袋を池に投げ込みます。すると、池の水が騒ぎ立つ異変が起こり、引き寄せられるように京極内匠が現れます。
二幕目「山城国小栗栖瓢箪棚の場」
[左より]京極内匠(坂東彦三郎)、
明智光秀の亡霊(中村又五郎)
実は、内匠はこの地で命を落とした明智光秀の遺児で、明智光秀の亡霊(中村又五郎)に引き寄せられたのでした。光秀は、この池に隠していた名剣・蛙丸(かわずまる)を我が子に託して、自らを滅ぼした真柴久吉への恨みを晴らしてほしいと託します。
二幕目「山城国小栗栖瓢箪棚の場」
[左より]一味斎姉娘お園(中村時蔵)、
京極内匠(坂東彦三郎)
剣を手にした内匠は、瓢箪を斬り落とします。その時、物陰からお園が現れ、蛙丸を奪おうと、2人は対決しますが、お園はまたも内匠を取り逃してしまいます。
三幕目「豊前国彦山杉坂墓所の場」
[左より]一味斎孫弥三松(中村秀乃介)、
毛谷村六助(尾上菊之助)、
若党佐五平(市村橘太郎)
六助は、剣術の奥義を授けてくれた一味斎との約束を守り、自分より強い者にしか奉公しないと言って、領主・立浪家からの仕官の誘いを断り続けています。領内には、六助との試合に勝った者を侍として召し抱える、とのお触れが出ています。
母が亡くなって四十九日の墓参りをしている六助のもとに、老婆を連れた浪人・微塵弾正と名乗る男が現れます。浪人は、老い先短い母のため、六助との試合で勝たせてくれるよう懇願します。その親孝行ぶりに心打たれた六助は快諾します。
その後、六助は幼子の弥三松を連れた佐五平に襲いかかる山賊に遭遇します。山賊を一蹴した六助は、命を落とした佐五平に代わり、弥三松(中村秀乃介)を預かります。
三幕目「豊前国毛谷村六助住家の場」
[左より]毛谷村六助(尾上菊之助)、
微塵弾正実ハ京極内匠(坂東彦三郎)
数日後、六助の住まいの庭先で、弾正との試合に臨んだ六助は、約束通り弾正に勝ちを譲ります。先日とは打って変わって威張る弾正が六助の眉間に傷まで負わせますが、六助は気にも留めず、孝行の手助けができたと喜びます。
そこへ旅姿のお幸がやってきて、素性を隠して親子になろうと言い出します。六助は不審に思いつつも、素性を知らないお幸を休息させます。
三幕目「豊前国毛谷村六助住家の場」
[左より]毛谷村六助(尾上菊之助)、
一味斎姉娘お園(中村時蔵)、
一味斎孫弥三松(中村秀乃介)
虚無僧に変装して京極内匠を探し歩くお園は、通りがかった家で見覚えのある子供の着物がかけてあるのを見つけます。そこは六助の家。お園は六助を家来を殺して弥三松を連れ去った敵と思い込みますが、六助が事情を話し名乗ると、自分が六助の許嫁であると言い出します。実は六助と結婚するようにと、一味斎がお園に言い遺していたのです。六助も喜び、二人は祝言を挙げます。
その最中、先刻見かけた老婆の亡骸が運び込まれます。杣斧右衛門(片岡亀蔵)が敵討ちを頼みに来ますが、実は老婆は斧右衛門の母で、弾正の話は全て偽りでした。
三幕目「豊前国毛谷村六助住家の場」
[左より]一味斎姉娘お園(中村時蔵)、
毛谷村六助(尾上菊之助)、
一味斎孫弥三松(中村秀乃介)、
一味斎妻お幸(上村吉弥)
微塵弾正とは一味斎の敵・京極内匠の変名で、弾正は六助を騙すことで、大名の剣術指南役の職を得たのでした。
お園の話から弾正の正体が分かると、六助は怒りに打ち震えます。
三幕目「豊前国毛谷村六助住家の場」
[左より]毛谷村六助(尾上菊之助)、
一味斎孫弥三松(中村秀乃介)
六助は師・一味斎の敵討ちを助けることを誓い、久吉が陣を構える小倉へと向かうのでした。
大詰「豊前国小倉真柴大領久吉本陣の場」
[左より]京極内匠(坂東彦三郎)、
立浪家家臣 井村六郎(上村吉太朗)、
立浪家家臣 捨川団八(市村光)、
立浪家家臣 向山三平(市村竹松)、
立浪家家臣 十時伝五(中村萬太郎)、
立浪主膳正(坂東楽善)
大詰「豊前国小倉真柴大領久吉本陣の場」
真柴大領久吉(尾上菊五郎)
豊前小倉の真柴久吉本陣に、真柴大領久吉(尾上菊五郎)が帰陣し、立浪主膳正(坂東楽善)が迎え入れます。
内匠は微塵弾正を名乗り久吉に面会しますが、久吉はすぐに弾正が光秀の遺児であることを見破ります。
大詰「豊前国小倉真柴大領久吉本陣の場」
[中央]真柴大領久吉(尾上菊五郎)
[手前左より]真柴方の若武者
福島市松正則(坂東亀三郎)、
佐藤虎之助正清(尾上丑之助)、
片桐助佐且元(尾上眞秀)、
糟屋助右衛門武則(中村梅枝)、
加藤孫六嘉明(中村種太郎)
内匠は手下とともに久吉を討とうとしますが、真柴方の若武者が迎え討ち、闘いが繰り広げられます!
大詰「豊前国小倉真柴大領久吉本陣の場」
[右端]真柴大領久吉(尾上菊五郎)
[手前左より]一味斎孫弥三松(中村秀乃介)、
一味斎姉娘お園(中村時蔵)、
毛谷村六助(尾上菊之助)、
京極内匠(坂東彦三郎)
[奥左より]立浪家家臣 捨川団八(市村光)、
立浪家家臣 向山三平(市村竹松)、
立浪家家臣 十時伝五(中村萬太郎)、
立浪主膳正(坂東楽善)
そこへ、六助が馳せ参じ内匠と対決、久吉の許しを得てお園と弥三松を呼び出します。そして、ついに……!!
国立劇場ならではの通し狂言でお楽しみいただく、手に汗握る仇討ちの全容をお見逃しなく!
劇場内にはお正月らしい看板、積み樽や凧など、新年を寿ぐお正月飾りで、皆様をお迎えします。さらに、毎年恒例舞台上からの手ぬぐいまきを、公演全日でお楽しみいただきます。
新春の晴れやかさいっぱいに、皆様のご来場をお待ちしております。
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