独立行政法人日本芸術文化振興会の目的は、これまでの国立劇場における、「我が国古来の伝統的な芸能の公開、伝承者の養成、調査研究等を行い、その保存及び振興を図る」ことに加え、平成9年10月10日に開場した新国立劇場において、「我が国における現代の舞台芸術の公演、実演家等の研修、調査研究等を行い、その振興及び普及を図る」こととされ、更に芸術文化振興基金の運用により、「芸術家及び芸術に関する団体が行う芸術の創造又は普及を図るための活動その他の文化の振興又は普及を図るための活動に対する援助を行い、もつて芸術その他の文化の向上に寄与すること」であることが、独立行政法人日本芸術文化振興会法第3条にうたわれています。(独立行政法人日本芸術文化振興会法規集)
この目的を達成するため、次のような事業を行っています。
これらのうち、現代舞台芸術に関する事業については、新国立劇場において行われることになりました。
すべての国民が芸術文化に親しみ、自らの手で新しい文化を創造するための環境の醸成とその基盤の強化を図る観点から、芸術文化振興基金が平成元年度末に創設されました。芸術文化振興基金は、その運用益により、芸術家及び芸術に関する団体が行う芸術の創造又は普及を図るための活動その他の文化の振興又は普及を図るための活動に対して援助するものです。
国立劇場における伝統芸能の自主公演は、つとめて古典伝承のままの姿で、なるべく広く、各種の伝統芸能の演出や技法を尊重しながら、その正しい維持と保存を心がけ、準備を重ねて行っています。
歌舞伎や文楽についての上演は、古典を主とし、その代表的な演目につき、初演当時の作品の構想を今日の制作状況に合わせ、筋を通して上演するいわゆる通し狂言を建前としています。上演時間の制約等から全般にわたる通し狂言を行わない場合にも、筋を理解してもらうため、必要に応じ端場(はば:段の始めの発端となる場面)をつける等の配慮もはらっています。また、状況に応じ、見せ場を中心とする有名な狂言の一幕(時に数幕)を2〜3本並べる、いわゆる見取り狂言を上演する方針もとっています。これは、伝統芸能の保存と振興という国立劇場設置の目的に沿いながら、お客様の多様な要望にも応じるもので、演目自体をみても、貴重でかつ魅力のある歌舞伎十八番や歌舞伎舞踊など、通し狂言では捉え切れない分野が存在するためです。
このほか、基本的な考え方としては、研究と準備を重ね、優れた作品で中絶したものの復活を企画し、演目の拡充に努めていること、さらに復活狂言のみに止まらず、伝統的な演出及び技法を基盤にした新作(歌舞伎については、明治以後の評価ある、いわゆる新歌舞伎作品や現代の作家による、いわゆる新作歌舞伎作品)の上演を推進していること、さらに、若手俳優や技芸員、文芸者、技術者等の育成を心がけていること等を挙げることができます。
能楽については、その普及と新しい観客層の開拓を目ざして、能一番、狂言一番による番組を原則とし、はじめての人にも鑑賞しやすく、しかも能楽の魅力を発見することができるようにしています。さらに、公演の日が平日か休日か、あるいはその時刻が昼か夜かによって観客層が異なると思われますので、定例公演、普及公演、狂言公演、特別公演のいずれであるかを問わず、年間を通じて鑑賞すれば、能・狂言の世界を概観することができるようにも配慮しています。
なお、青少年等が気軽に伝統芸能の魅力に触れ、これを後代に伝えることができるようにするため、歌舞伎、文楽及び能楽を中心に低廉な料金でそれぞれの鑑賞教室を実施しており、特に歌舞伎については、本館大劇場において毎年2ヶ月間開催するとともに、地方における鑑賞機会の充実にも努めています。