50周年記念公演ニュース

2016年9月02日

「日本の太鼓」作曲者インタビュー
林英哲さんに聞く、「太鼓音楽を創造すること」

 今年、創立50年を迎える国立劇場では、秋より開場50周年記念公演を開催し、大きな節目を華やかに飾ります。そのラインナップには昭和52年に第1回の公演が行われ、今回で35回目を迎える「日本の太鼓」も名を連ねています。
  「日本の太鼓」は、その音の迫力や体に伝わる響きなどの太鼓の魅力を、全国各地の民俗芸能や創作太鼓など、選りすぐりの太鼓芸能を通じて紹介してきた公演です。先のインタビューではこの公演の幕開きで50周年を寿ぐ新作「鶴の寿」を作調・初演する藤舎呂英さんにお話を伺いました。今回はその第二弾として、「日本の太鼓」最多出演者であり、太鼓ソロという未踏の分野を切り拓き、今なお太鼓界を牽引する林英哲さんにお話を伺います。


―― 演奏活動45周年、おめでとうございます。

英哲:ありがとうございます。まさか続けると思わずに歩き始めた道だったので、45年間は「邯鄲」の夢のような気がする時があります。夢がさめたら、まったく違うところにいる、とかね(笑)。
林英哲(はやしえいてつ)
広島県生まれ。11年のグループ活動を経て、1982年よりソロ太鼓者として活動を開始。以後、ジャンルを超えた世界のアーティストやオーケストラと共演しながら、世界に向けて発信する新しい「太鼓音楽」の創造に取り組み魅力を提示し続けている。今年で演奏活動45周年を迎える。http://www.eitetsu.net/
               写真・冨永民生

―― この間、グループ活動を経て、誰も考えもしなかった太鼓ソロというジャンルを拓き、現在まで一線で活躍をされています。そのキャリアの中で、今回で35回目となる「日本の太鼓」へのご出演は12回目となります。「日本の太鼓」の思い出はありますか?


英哲) 集団メンバーとして初出演した3年後に、東京で独奏者となって初めて出演した時(昭和57年)ですね。ユニット「鼓韻の会」として出演して、大劇場での練習後、地下の大道具さんの大浴場が使えたのが嬉しかった(笑)。当時、風呂なしアパートからの出発でしたから。演奏は、毎回違うことをやらせて頂いたので、それぞれに皆思い出深いです。

―― さて、今回上演する独演「千年の寡黙」は、複数の曲による組曲形式の構成となりますが、どのようなイメージで構成されているのですか?

英哲)

数百年生きながらえた巨樹、という設定で、大太鼓自体が巨樹から創られているのでそのイメージや、森の響きやそよぎ、水滴、霧などのイメージを音楽にすることを考えました。「命はいっぱいいて、たったひとりの僕を見ている」というどなたかの詩も手がかりに、冒頭では山頭火の自然と孤独を詠んだ句も使っています。


――ソロ奏者になられた頃の作品と伺っていますので、その時のご自身の状況も反映しているのでしょうね。では、「千年の寡黙」の聴きどころを教えてください。

英哲) 国立の大劇場空間で、一人きりの太鼓、というのが初めてのことで他では聴けない状況なので、聴きどころはそこでしょうか、やる側は不安でいっぱいですが。

――また今回、「千年の寡黙」を演奏した後で、大太鼓アンサンブルの魅力を最大限に引き出すために作られた曲「七星」を上演することになり、我々としてはとても嬉しいサプライズになりました。あらためてこの曲の魅力を教えて下さい。


英哲)

大太鼓連打の大曲「七星」は、力強さ全開の曲として創ったので「英哲風雲の会」に思いっきり頑張ってもらおうと(笑)。初演時には倒れる者もいたくらいきつい曲ですが、今回は打ち手も練達なので、50周年にふさわしい演奏にしたいです。


――それでは最後に一言お願いします。

英哲)

太鼓を「音楽」と思ってやって来た道のりですが、それが良かったのかどうか、と思うこともあります。でも国立劇場で色々な試みをやらせて頂いたことは、大きな励みでした。芸術選奨を頂いたのも「日本の太鼓」公演ですし。国立劇場でしか聞けない音、雰囲気を、お客様にも楽しんで頂けるよう、今回も精いっぱいやらせて頂きます。たくさんのご来場をお待ちしています。


――本日はどうもありがとうございました。9月の「日本の太鼓」を楽しみにしています。

  日本の太鼓界を牽引し、世界に広めてきた林英哲さんの演奏には、「太鼓音楽」という、伝統ではない新しい音楽であるのにも関わらず、何故か日本の伝統的な様式美を感じます。だからこそ日本だけでなく、世界でその演奏が認められているのでしょう。是非、独演「千年の寡黙」、そして「七星」をお聴きいただき、林英哲という稀代の太鼓奏者が生み出す、新たな日本の伝統となるべき太鼓音楽の魅力を感じていただきたいと思います。どうぞご来場ください。


 


公演情報の詳細はこちら
国立劇場9月特別企画公演「日本の太鼓」

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