50周年記念公演ニュース

2016年11月04日

【11月歌舞伎公演】『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』【第二部】
初日を迎えました!

 11月2日(水)、国立劇場開場50周年記念『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』【第二部】の幕が開きました。10月から3ヶ月にわたる歌舞伎公演は、義太夫狂言の大作『仮名手本忠臣蔵』の全段を、完全通し上演でご覧いただいています。

 11月の【第二部】は、清元の所作事「道行旅路の花聟」から始まり、五段目、六段目、七段目を上演します。五段目と六段目では、早野勘平と恋人のおかるに焦点を当てた物語が展開します。そして、七段目は、討入りの機会を窺う大星由良之助の苦心を描きます。

 「道行旅路の花聟」は三段目「裏門」(10月【第一部】で上演)を書き替えた所作事で、色彩の鮮やかな背景と華やかな清元の名曲で、勘平(中村錦之助)とおかる(尾上菊之助)が落ち延びてゆく姿を描きます。今回は、二人の悲劇の序曲として上演します。
 
 



「道行旅路の花聟」
〈左〉腰元おかる(尾上菊之助)、〈右〉早野勘平(中村錦之助)

 五段目「鉄砲渡し」で千崎弥五郎(河原崎権十郎)から討入りの計画を聞く勘平(尾上菊五郎)。その資金に必要な五十両をめぐり、悲劇が展開します。幕開きで雨宿りの最中に笠を上げて顔を見せる勘平の登場は、二枚目ぶりが際立つ演出です。暗闇の中で事件が起こる「二つ玉」。おかるの父与市兵衛を殺害する斧定九郎(尾上松緑)と、その後で猪を鉄砲で撃ち止めようとする勘平。わずかな台詞を除き、動作のみで心の動きを表現する二人の演技からは、写実と様式美が融合した歌舞伎特有の表現を楽しむことができます。



五段目「鉄砲渡し」
〈左〉早野勘平(尾上菊五郎)、〈右〉千崎弥五郎(河原崎権十郎)


五段目「二つ玉」
斧定九郎(尾上松緑)

 六段目「勘平腹切」は勘平とおかる一家の悲劇を描きます。六段目の勘平の演技には、財布を確認する際の視線やしぐさ、煙管の持ち方に至るまで、緻密に練り上げられた演出が随所に見られ、心の内面を細やかに描写しています。祇園へ出立するおかるとの別れの場面では、勘平の苦悩とおかるの悲しみが伝わります。
 舅を殺害したと思い込み、討入りの同志となることを拒まれ、追い詰められる勘平。ついに刀を腹に突き立てて「色に耽ったばっかりに……」と身の因果を嘆く述懐は、勘平の無念さを巧みに表現しています。



六段目「勘平腹切」
<左より>勘平女房おかる(尾上菊之助)、与市兵衛女房おかや(中村東蔵)、早野勘平(尾上菊五郎)
判人源六(市川團蔵)、一文字屋お才(中村魁春)


六段目「勘平腹切」
〈左より〉千崎弥五郎(河原崎権十郎)、早野勘平(尾上菊五郎)、原郷右衛門(中村歌六)

 七段目「一力茶屋」では、廓で遊興に耽る由良之助(中村吉右衛門)の真意が、他の登場人物たちとのやりとりの中で、次第に明らかになっていきます。廓で遊ぶ男の色気と、討入りの決意を胸に秘めた忠臣としての性根を兼ね備えた由良之助。その演じ分けがみどころです。
 密書を読んでしまったおかる(中村雀右衛門)は、突然由良之助から身請けの話を持ちかけられます。身請けされた後に勘平に会えると喜んで手紙を書きますが、その愛らしさが、勘平の死を知った後の嘆きと悲しみを増幅させます。また、身分の低い足軽とはいえ一途な忠義心を見せるおかるの兄・寺岡平右衛門(中村又五郎)とのやりとりでは、兄妹の情愛が伝わります。
 兄妹の覚悟を見極めた由良之助は、裏切り者の斧九太夫(嵐橘三郎)を打ち据えながら、本心を吐露します。この由良之助の「獅子身中の虫とはおのれがこと……」から始まる長台詞は聴きどころで、怒りと苦悩を滲ませる台詞回しにご注目ください。



七段目「一力茶屋」
〈左より〉斧九太夫(嵐橘三郎)、大星由良之助(中村吉右衛門)、遊女おかる(中村雀右衛門)



七段目「一力茶屋」
〈左〉大星由良之助(中村吉右衛門)、〈右〉遊女おかる(中村雀右衛門)



七段目「一力茶屋」
(左より)遊女おかる(中村雀右衛門)、寺岡平右衛門(中村又五郎)、大星由良之助(中村吉右衛門)

 塩冶浪士の“その後”が描かれる11月の【第二部】では、主君・塩冶判官の無念を晴らしたいと願う登場人物たちの悲劇や苦悩に、焦点が当てられます。先人たちによって練り上げられて伝承されてきた名場面の魅力をご堪能ください。

 【第一部】をご覧になった方は、【第二部】の内容をより深く楽しんでいただけます。また、【第二部】からご覧いただいても、歌舞伎屈指の名作の醍醐味を味わうことができます。華やかな顔触れが揃った11月公演をどうぞお見逃しなく!


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10・11・12月歌舞伎『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』特設サイト


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