50周年記念公演ニュース

2016年9月03日

公演直前!「道成寺の舞踊」稽古レポート

 国立劇場開場50周年記念公演の9月舞踊公演「道成寺の舞踊」。古典芸能作品のモチーフとして最もよく知られている「道成寺伝説」を中心に、9月10日(土)1時の部、5時の部の2公演で、日本舞踊の醍醐味満載の全8演目を上演します。
 いよいよ公演を間近にひかえ、稽古にもますます熱が入っています。今回はその中でも『切支丹道成寺』の稽古の様子をお伝えします。

『切支丹道成寺』
 昭和32(1957)年に芸術祭参加曲として作られ、芸術祭大賞を受賞しました。舞踊としては昭和34(1959)年に六代目中村歌右衛門により初演され、以来様々に上演されてきました。
 天正期(1573~91)、大坂の切支丹教会が舞台。主人公は滅亡した柴田勝家の娘・朝子で、かつての恋人・秋月ジョアンを訪ねてきます。ジョアンは主君・織田信長を失い、今は修道士となっています。戦乱の時代に世俗との縁を絶って神の永遠の愛に身を委ねるジョアンと、世俗の愛に身を投じて悔いない朝子との、生き方の違いが作品の根底をなしています。安珍と清姫の物語を模しつつ、現代感覚で綴られた道成寺物です。
 

朝子役の水木佑歌


 天正期の切支丹教会が舞台とあって、パイプオルガンや荘重な箏の音色など、厳かさを感じさせる音楽の中で踊られます。水木佑歌は若い頃より創作舞踊で高い評価を得ており、昨年も『切支丹道成寺』の朝子を踊っています。
 ジョアンと再会を果たし想いを寄せるも、修道士として神に身を捧げるジョアンに拒否される朝子。稽古場なので舞台セットや衣裳はありませんが、恋の情念に燃え、「たとえ炎に身を焼かれても、つきまとい離れじ」と狂乱していくそのすさまじさは、肌まで伝わってくるかのようでした。

ジョアン役の藤間恵都子


 ジョアンはパアデレ(神父)たちと共に神に祈りをささげ、狂乱の態となった朝子を鎮めていきます。ジョアン役の藤間恵都子は、切れ味のある踊りで立役(男性)にも力を発揮します。凛とした佇まいからは、ジョアンの気高さが表現され、一心に祈りをささげる様からは、真摯な想いが立ち上ってくるかのようです。

左から修道僧役の藤間達也、西川大樹、西川扇左衛門、西川扇重郎、
パアデレ役の花柳寿太一郎


 パアデレ役は花柳寿太一郎、修道僧には藤間達也、西川扇重郎、西川大樹、西川扇左衛門と実力派の男性舞踊家が脇を固めます。朝子とからむ動きの中で、随所に「娘道成寺」などを想起させる振りや構成があるのも見逃せません。


 公演直前ということもあり、緊迫した雰囲気の中で行われた今回の稽古でしたが、女性による恋の妄執を描く道成寺物の中でも独特の世界観を持つこの作品が、実際の舞台でどのように完成されるかとても楽しみです。

 「道成寺の舞踊」は、1時開演の部が、50周年の開幕を寿ぐ演目として、宝船で漕ぎ出す賑やかな男性群舞が迫力ある『七福神船出勝鬨』から始まり、〔道成寺三題〕として『鐘の岬』、『切支丹道成寺』、『京鹿子娘道成寺』を上演、5時開演の部では、華やかな女流の群舞『洛中洛外』で開幕し、〔道成寺三題〕の後半として『道成寺昔語』、一中節『道成寺』、『奴道成寺』を上演します。
 古典と新作の両方の道成寺物の舞踊をお楽しみいただけるこの機会を、どうぞお見逃しなく!



 


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国立劇場9月舞踊公演「道成寺の舞踊」

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