50周年記念公演ニュース

2017年02月04日

国立劇場開場50周年記念
2月文楽公演「近松名作集」
初日を迎えました

 国立劇場開場50周年記念2月文楽公演「近松名作集」が初日を迎えました!

 第一部(午前11時開演)『平家女護島』、第二部(午後2時30分開演)『曾根崎心中』、第三部(午後5時開演)『冥途の飛脚』と、全ての演目を人形浄瑠璃を代表する大作家・近松門左衛門の作品で揃え、上演しています。

 初日を迎えた舞台の様子をご紹介いたします!

第一部(午前11時開演)
   『平家女護島』  六波羅の段/鬼界が島の段/舟路の道行より敷名の浦の段

 平清盛を討つ計画が露顕し、鬼界が島に流罪となった俊寛僧都の悲劇を描いた「鬼界が島」。『平家女護島』は、この場面が取り上げられることが多いですが、今回東京・国立劇場では22年ぶりに、「六波羅」から「舟路の道行より敷名の浦」までを上演します。「鬼界が島」の前後が上演されることで平清盛の極悪非道ぶりが描かれ、流罪となった俊寛の、清盛を討とうとした想いがより浮き彫りになります。


六波羅の段

 都に残された俊寛の妻あづまや。あろうことか清盛は、あづまやに横恋慕し、家来を遣わして気を引こうとします。しかし、あづまやはこれを頑なに拒みます。そこへ、能登守教経が現れ、清盛の言葉にも背かず貞女の道を守るためにはどうするべきかと迫ります。その言葉を聞き、あづまやが選んだ道とは……。
 そしてあづまやの尊厳を守った教経が、清盛のもとを訪れます。




鬼界が島の段

 都に残した妻あづまやを想う俊寛。そこへ共に流罪となった丹波少将成経と平判官康頼が集まります。成経が、島の海女・千鳥と結ばれると知った俊寛はこれを祝福します。我々は家族も同然だと、千鳥と親子の契りを交わし、成経と祝言を挙げさせます。



 そこへ都より赦免船が到着します。俊寛、成経、康頼の三人は罪を赦され、都に戻ることになります。



 都へ帰ることができるのは、俊寛、成経、康頼の三人のみ。島へ取り残されることになった千鳥を想い、そして妻あづまやが非業の最期を遂げたことを聞いた俊寛が取った行動とは……。


舟路の道行より敷名の浦の段

 三人を乗せた船が敷名の浦に着くと、そこへ清盛と後白河法皇を乗せた船がやってきます。
 そこで清盛の衝撃の悪計が明らかになります。



 絶対的な悪として描かれる平清盛の政権下で、俊寛たちがそれぞれに愛する者を思い、または正義を貫くために取った行動がリレーのように繋がっていき、最後には悲しいながらも清盛に一矢報いる結末を迎えます。それぞれの登場人物がみせる“人間らしい”感情に、近松の巧みな人物描写が見られます。


第二部(午後2時30分開演)
   『曾根崎心中』 生玉社前の段/天満屋の段/天神森の段

 『曾根崎心中』は、江戸時代の元禄16年(1703)に大坂・曾根崎で発生した心中事件をもとに近松門左衛門が書き、世話物というジャンルを確立した、男女の悲しい恋を描く名作です。

 
生玉社前の段

 醤油屋の手代・徳兵衛は、天満屋の遊女・お初と恋仲です。しかし、徳兵衛は、自分の伯父である醤油屋の主人から持ちかけられた縁談に悩まされています。縁談を断るためには、継母が主人から受け取った金を返さなければなりませんが、徳兵衛は苦心して取り戻したその金を、友人の九平次に頼まれて貸してしまっていたのでした。しかし、九平次は、もとより金をだまし取るどころか、さらに徳兵衛を貶める算段をしていたのです。




天満屋の段

 九平次によって罪人扱いされ、それを吹聴された徳兵衛は、死をもって身の潔白を示そうとします。その夜、お初は天満屋を訪れた徳兵衛を縁の下に忍ばせると、九平次の相手をしながら、徳兵衛に心中の意思をほのめかします。これに対し徳兵衛が、お初の足を喉に当て、自分も同じく死の覚悟であることを伝えます。『曾根崎心中』の中でもハイライトと呼べる場面です。




 そして皆が寝静まった後、二人の死への旅路が始まります……


天神森の段

 二人は、必ず来世で夫婦になろうと誓いながら天神森へと向かいます。二人の目に映るもの、耳に届くもの、全てがこの世での最後となります。そして夜が明けようとする頃、近くの寺から聞こえる念仏を聞きながら、徳兵衛は刀を抜くのでした。


 『曾根崎心中』がヒットするまで、歴史的な出来事を題材とする“時代物”が主流でした。それまで題材として取り上げられることの無かった市井の人々の生きざまが、見事な悲劇に仕上げられ、観る人たちの心を掴みました。浄瑠璃の美しい詞章が、登場人物の心情を豊かに表現しています。


第三部(午後5時開演)
   『冥途の飛脚』 淡路町の段/封印切の段/道行相合かご


 『曾根崎心中』と並び、近松の世話物の代表作である『冥途の飛脚』。こちらも実際に起きた金銭横領事件を題材に描かれています。
 主人公である飛脚屋の忠兵衛が、愛する梅川を想うあまり理性を失い身を滅ぼしていく過程には、現代でも多くの人が共感を覚えます。


淡路町の段

 飛脚屋「亀屋」の養子で後継ぎの忠兵衛は、恋人の遊女・梅川に入れ揚げています。遂には友人の丹波屋八右衛門へ届けるはずの五十両を、梅川の身請けの手付金として使ってしまいます。金が届かないことを八右衛門に問い詰められた忠兵衛は、正直に白状します。それを聞いた八右衛門は、「了簡して待ってやる」と猶予を与え、忠兵衛の養母・妙閑にも知られないように振舞い帰っていきます。



 そして、忠兵衛は、到着が遅れていた300両を堂島の屋敷へ届けるために懐に入れ出かけます。しかし、その途中、真っ直ぐ堂島へ向かうか、梅川に会いに新町の廓に寄るか葛藤します。悩みぬいた忠兵衛の脚は、いつしか新町へと向いてしまうのでした……。この悩む忠兵衛の姿は「羽織落し」という象徴的な演出がなされます。


封印切の段

 忠兵衛を待ち、越後屋という茶屋にやってきた梅川。忠兵衛が身請けの残金を支払う前に、自分が他の客に身請けされてしまうことを心配しています。そこへやってきたのは八右衛門でした。梅川に入れ揚げるあまり、客の金を使いこむ忠兵衛を案じ、これ以上悪事に手を染めぬよう、今後廓へは近寄らせないように皆を説得し始めます。




 しかし、その様子を店の外から立ち聞きしていた忠兵衛は激怒します。男の面目を傷つけられたと八右衛門に食ってかかります。
 自分は、金を持っていないわけではないと言い張る忠兵衛。ついに懐に入れていた300両に手を掛けてしまいます……。




道行相合かご

 取り返しのつかないことをした忠兵衛は、生きている限りは梅川と添い遂げたいと、廓を出ると駕籠に乗り忠兵衛の故郷である新口村へと向かいます。――果たして二人の運命は……。




 第二部『曾根崎心中』の徳兵衛と、第三部『冥途の飛脚』の忠兵衛。同じく遊女を恋人に持った二人の男の、哀れで悲しい恋の行方を描きます。第三部の忠兵衛は、梅川を想うあまり理性を失い、自らの行動に歯止めを掛けられず破滅の道を辿っていきます。


 時代物、世話物と、近松門左衛門の珠玉の作品を上演する2月文楽公演。
 どの作品をご覧いただいても味わい深い舞台となっています。ぜひ劇場に足をお運びください。

2月文楽公演は2月4日(土)から20日(月)まで
2月文楽公演「近松名作集」 特設サイトはこちら

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